恐竜の卵化石の「修復師」たち 湖北省青竜山

ソース:新華社作者: 2024-05-24 14:34

15日、元々埋まっていた現場で保護した恐竜卵化石を修復する趙璧氏。(十堰=新華社記者/胡競文)

 中国湖北省十堰市鄖陽(うんよう)区にある青竜山恐竜卵遺跡博物館では、恐竜の卵化石が発見された場所でそのまま保護、展示されている。卵化石発掘エリアの面積は7千平方メートルを超え、計3204個の卵化石がその場で修復、保護、展示されている。独特の数珠状に並んだ卵化石や77個集まった卵化石が発見されたほか、昨年12月には内部が完全に結晶化した世界的にも珍しい3個の卵化石が見つかっている。

 恐竜の卵化石が秘めるさらなる情報を調べ、青竜山で恐竜が産卵した謎を解くため、青竜山恐竜卵化石群国家級自然保護区と中国科学院古脊椎動物・古人類研究所は2020年、湖北省地質科学研究院と共に、研究者6人を固定メンバーとした合同研究チームを結成。恐竜の卵化石のサンプルの切片化と組織学的観察を実施し、卵化石の発見場所での修復調査と堆積環境の研究を行っている。

 研究チームはここ数年、青竜山の恐竜卵の科学研究を中心に、国・省レベルの多くの自然科学基金プロジェクトを成功させ、青竜山で見つかった恐竜卵化石の分類の画定や、青竜山地域での恐竜と卵の共存現象の証明などで重要な成果を上げた。現在は同地域で見つかった恐竜卵の胚骨格の形態学的・分類学的研究を進め、これらの卵の正体解明に科学的手段を駆使して取り組んでいる。

 湖北省地質科学研究院の趙壁(ちょう・へき)高級工程師(シニアエンジニア)は同地で卵化石の研究に取り組む研究者の一人。趙氏は発見場所で卵化石に覆いかぶさるようにして、化石修復用気動彫刻ペンとブラシを使い、化石の表面の汚れを少しずつ取り除くというのは恐竜の卵の「修復師」たちの日常だと説明。「数千万年前の化石に向き合っていると、歴史と対話しているような気分になる」と語る。

 趙氏は合同研究チームが恐竜の卵化石の修復・保護作業をもともと埋まっていた場所で行うことにしたのは化石情報をできるだけ多く保存するためだと指摘。「これは他地域の恐竜卵の保護・研究と手法が異なるため、参考にできる経験があまりなく、手探りで進むしかない」と述べた。

 彼ら「修復師」たちのたゆまぬ探究により、謎に包まれた青竜山の恐竜卵の姿は徐々に明らかになりつつある。

編集:董丽娜

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