万里を隔てた文明交流 中国とホンジュラスのマヤ遺跡発掘協力
ソース:新華社作者: 2023-06-20 16:27
中国社会科学院考古研究所は2015年、中米ホンジュラスのマヤ文明遺跡、コパン遺跡で同国研究者との合同発掘調査を開始した。プロジェクトの名称は「マヤ文明の中心コパン遺跡の考古学調査とメソアメリカ文明の研究」で、中国側責任者を同研究所の李新偉(り・しんい)研究員、ホンジュラス側責任者を長年マヤ遺跡発掘に携わってきたジョルジ・ラモス氏が務めた。
コパン遺跡はホンジュラス北西部にあり、マヤ文明で最古かつ最大の遺跡の一つとされる。1980年に国連教育科学文化機関(ユネスコ)の世界文化遺産に登録された。
空から見たコパン遺跡。(4月1日、小型無人機から、コパン=新華社記者/辛悦衛)
合同考古調査は4年余り続き、考古学者らにより精美な陶器や玉器、彫刻の数々が千年のちりを落とし、日の目を見ることになった。
遺跡入り口の展示ホールに、竜頭の彫像が展示されている。高く突き出た丸い鼻とカールした口ひげは中国の竜によく似ている。中国人として子どもの頃から竜文化に親しんだ李氏にとって、太平洋の対岸で出会った千年前の「マヤ竜」は大きな感動だった。李氏は取材に対し、竜はマヤ文明でも中国と同様に雨と関わり、重要な神だったと説明。中華文明とマヤ文明は「天地人」の世界観や翡翠(ひすい)、玉器への愛着など、普遍的な共通点を持っていると語った。
李氏は、中華文明の研究も国際的視点に立ち、他文明と交流し、互いに学び合う必要があると指摘。ラモス氏も、中国文明の理念とコパン遺跡の国際協力モデルは図らずも一致したとし、異なる経験や背景を持つ考古学者がコパンに集まることで、マヤ文明に新たな解釈と視点をもたらすことができると述べた。
同遺跡の管理者を務めるホンジュラス人類学・歴史研究所西部地区代表のサルバドール・マルティネス氏も、中国の考古学者は現地の学者にマヤ文明を理解するための新たな観点や視点を提供できるとの考えを示した。
李氏は「中華文明探源プロジェクト」に参加したこともある中国文明研究の古株だが、マヤ文明については自身も「初学者」と語る。ホンジュラスでは地元の学者からトンネルを使った発掘方法を学んだという。一方で中国の考古学者も小型無人機(ドローン)による空撮や3Dマッピングなどの先進技術を導入したほか、中国考古学が持つ地層分析の経験を生かし、発掘作業の効率を向上させた。
中国とホンジュラスは今年3月26日、国交樹立に関する共同コミュニケに署名。両国の考古学者にとっても遺跡保護協力の新たな1章を迎えた。
マルティネス氏は、両国の考古学協力は既に多くの成果を上げているが、国交樹立とハイレベルの往来は新たな希望をもたらすと表明。「中国は考古学の経験が豊かで技術も進んでいる。2国間の考古学協力に期待している」と述べた。ラモス氏も、中国の経験と技術を借りて、遺跡保護と観光開発のバランスという難題を解決していきたい考えを示した。
李氏は、国交樹立によって長年の願いだったマヤ文化財の国内展覧会に着手できるとし「マヤの文化財が中国人に他文明の美しさを気付かせるとともに、自国の文明の美しさを再認識させることを願っている。文明交流の素晴らしさを感じてほしい」と語った。
編集:董丽娜
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