「官窯」跡が示す高度な製磁技術 西夏文化探訪

ソース:新華社作者: 2024-11-29 14:36

蘇峪口磁窯跡出土の瓜棱罐(かりょうかん)。(銀川=新華社配信)

 中国の11世紀から13世紀にかけて、現在の寧夏回族自治区一帯を支配した西夏王朝。その版図で焼成された磁器は西夏磁器と呼ばれる。これまでは同自治区霊武市の霊武窯跡から出土した磁器が代表とされ、造形や文様に一定の特色があるものの、同時代の宋磁に比べ粗さが指摘されていた。しかし、7年前の発掘調査で人々の西夏磁器に対する固定観念は覆された。

寧夏回族自治区銀川市の西夏陵博物館で、霊武窯跡から移転された遺構を見る人たち。(2019年10月2日撮影、銀川=新華社記者/馮開華)

 「胎質は白くきめ細やかで、釉色はわずかに青みがかった白。均一に施釉されている。ガラスの質感と透光性が極めて高い。この磁碗の破片の底は厚いが、光を当てると透けて見える」。蘇峪口(そよくこう)磁窯跡発掘プロジェクトで副責任者を務める寧夏文物考古研究の柴平平(さい・へいへい)氏は、実物を示して白磁のきめ細かさを説明した。

蘇峪口磁窯跡で発掘された工房跡。(10月24日撮影、ドローンから、銀川=新華社記者/馮開華)

 蘇峪口磁窯跡は同自治区の賀蘭山蘇峪口国家森林公園で2017年に発見された。面積は4万平方メートルで、これまでに窯炉13基が見つかっている。

蘇峪口磁窯跡で発掘調査を進める寧夏文物考古研究所のスタッフ。(10月24日撮影、ドローンから、銀川=新華社記者/馮開華)

 発掘プロジェクトの責任者、寧夏文物考古研究の朱存世(しゅ・そんせい)所長は「蘇峪口の磁器は西夏陵や賀蘭山東麓西夏離宮、西夏寺院などで出土した精緻な白磁と同じで、窯跡からは『官』の文字が入った匣鉢(こうばち=焼成時に器物を入れる耐火粘土の容器)も多数出土した」と紹介。蘇峪口は宮廷用磁器を焼いた場所で、官窯としての性質を備えていたとの見方を示した。

賀蘭山蘇峪口国家森林公園内にある蘇峪口磁窯跡。(10月24日撮影、ドローンから、銀川=新華社記者/馮開華)

 調査と研究を通じ、これらの磁器が白く、きめ細かく、光に透ける理由が分かった。蘇峪口磁窯では匣鉢の口を釉薬で密封する焼成技術が盛んに用いられたことが判明。この技術が浙江省寧波市の上林湖越窯跡以外で見つかったのは初めてで、磁胎や釉薬、匣鉢からは石英を多く用いた製磁技術も確認された。

蘇峪口磁窯跡出土の透光性の極めて高い磁器。(銀川=新華社配信)

 朱氏は「出土した磁器の磁胎には石英が大量に含まれていた。現代の石英含有量の高い磁器の基準に近く、全国的にも珍しい」と指摘。このような改良は北部の磁土で景徳鎮(江西省の名窯)の磁土と同じ効果が得ることができ、焼き上がった磁器は透明感が増すと語った。

蘇峪口磁窯跡出土の花口碗。(銀川=新華社配信)

 蘇峪口磁窯跡は保存状態の最も良い磁器窯跡の一つとして、中国社会科学院考古学フォーラムの2023年中国考古新発見、国家文物局「考古中国」重要プロジェクトの2023年の重要進展に選ばれた。

編集:董丽娜

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