良渚遺跡群で石器に関する新たな発見 加工場跡など発掘

ソース:新華社作者: 2024-01-25 14:09

沈家里遺跡出土の石器。(資料写真、杭州=新華社配信)

 中国の長江デルタ地域で5千年前の新石器時代に栄えた良渚(りょうしょ)古国については、多くの人が美しい玉器を思い起こすが、当時の良渚人の生活では石器も非常に重要な役割を占め、木の伐採や家屋の建築、田畑の耕作や稲刈りに使われていた。

 浙江省杭州市で20、21両日開かれた2023年浙江考古重要発見報告会では、同市の瀋家里遺跡と瀋家畈(しんかはん)遺跡で見つかった良渚時期の石器加工場の発掘成果が紹介された。

 同市蕭山(しょうざん)区にある瀋家里遺跡の面積は約1万5千平方メートル。うち325平方メートルを発掘し、専門性の高い石器加工場の遺構を発見した。復旦大学(上海市)文物・博物館学部の李唯(り・い)青年副研究員によると、良渚の石職人は付近の山で採石し、主に石錛(せきほん、手斧)や石鑿(いしのみ)、石斧(せきふ)、石鏃(せきぞく、矢じり)に加工していた。半製品の多くもしっかりと研磨されていたという。

 李氏は、加工場を使い始めたのは良渚人ではなく、約6300年前の馬家浜文化の時点で既に同地で採石と石器作りが行われていたと説明した。

 瀋家畈遺跡は桐廬(とうろ)県にあり、約4万平方メートルのうち1500平方メートルを発掘した。杭州市文物考古研究所瀋家畈プロジェクトの関欣玉(かん・きんぎょく)現場責任者は、遺跡が良渚文化期、宋元時代、明清時代、近現代の4段階に分かれていると説明。発掘調査では灰坑や墓、柱穴、石器堆積など200カ所余りを発見し、遺物3万7千点余りが出土したとし、良渚時期の石製品が中心で、各製造段階の石器や石器原料、工具も見られたと述べた。

 関氏によると、県内を流れる分水江の流域はこれまでも複数の専門家が「時代が連続した体系的な石器加工地点」と判断していたことから、同遺跡の発見は先史時代における長江流域の石器生産の空白を埋めたことになる。

 浙江省文物考古研究所科学技術考古室主任で、良渚古城・水利システム考古プロジェクトの責任者を務める王寧遠(おう・ねいえん)研究員は、良渚遺跡群の出土石器の石材採取場所については過去の体系的な鑑定分析で良渚古城周辺の山ではないことが分っていたと指摘。瀋家畈遺跡で同様の石材を用いた石器が見つかったことは良渚石器の材料の由来を研究する考古学的実証になるとの見方を示した。

 王氏は、川辺に石器加工場を設けたのは当時の人々の念入りな調査の結果だと指摘。「縞状珪質岩は質が不揃いで、山から直接採取した場合は品質が均一でなく、柔らかい部分で石器を作ると割れやすくなる。一方、水の流れで削られて丸みを帯びた石は硬質で石器に適している」と説明し「この遺跡を頼りに良渚文化期の石器製造の全体像に対する考古学的分析研究を進めることができる」と語った。

編集:董丽娜

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