躍動する青銅器の傑作「銅奔馬」
ソース:新華社作者: 2024-01-08 17:18
甘粛省博物館が所蔵する銅奔馬。(2022年5月13日撮影、蘭州=新華社記者/陳斌)
中国甘粛省の甘粛省博物館に、躍動感あふれる疾走する馬をかたどった後漢時代の青銅器「銅奔馬」が展示され、同博物館の目玉となっている。1960年代に同省武威市の雷台漢墓から出土したもので、高さは34・4センチ、長さは44・5センチ、重さは7・15キロ。83年には中国観光のシンボルマークに採用され、国宝級の文化財として親しまれている。
「銅奔馬の設計のアイデアは時代を先取りし、鋳造工程も考え抜かれ、漢代の極めて高い科学技術レベルを反映している」。甘粛省博物館副館長を務める王琦(おう・き)研究員は「考古学的な研究価値が非常に高い」と強調する。
例えば疾走する馬体のすべての力は、飛ぶ鳥を踏んで躍動する1本の足に集中している。その造型は現代力学のバランスの原理と完全に合致している。鋳造の工程や足の設計にも独自の工夫が凝らされている。計器による計測データからは、まず胴体、尻尾、脚、鳥などのパーツが陶製の鋳型で別々に鋳造され、後で接合されたことが分かっている。脚には鉄の芯が埋め込まれ、強度の向上が図られている。右前脚のひづめの底にはさびた鉄芯を見ることができる。
銅奔馬が出土した雷台漢墓は、河西地域で発見された最大の後漢墓の一つ。墓の主を示す墓誌銘は出土していない。発見時すでに人為的に破壊され、資料が欠けていることから、被葬者の身元を特定するのは難しい。発見以来、盛んに研究されてきたにもかかわらず、銅奔馬をめぐる未解決の課題が多い理由の一つとなっている。
雷台漢墓の築造年代については、墓の内部の副葬品のほとんどが後漢時代の特徴を備えていたこと、後漢時代の文献にのみ出てくる「左騎千人」という官名や「張掖県」という県名が馬体に刻まれた銘文に見られることから、後漢末期と推定されている。
王氏は「現在も科学技術を駆使して銅奔馬の考古学研究を続けている。古代中国の青銅芸術の中でも類いまれな傑作であり、今後もさらに多くの新たな発見が得られるだろう」と語った。
編集:董丽娜
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