ひょうたん彫刻に注ぐ情熱 4代受け継ぐ伝統技法 甘粛省
ソース:新華社作者:張文静 何問 馬莎 2024-05-20 15:48
11日、作業部屋でひょうたんを彫刻する阮氏葫蘆芸術館のオーナー阮熙越さん。(蘭州=新華社記者/馬莎)
中国甘粛省蘭州市の彫刻工房。職人の阮熙越(げん・きえつ)さん(37)がスタンドの光の下、針でひょうたんの表面を彫り込んでいく。しばらくすると子どもの輪郭が浮かび上がった。
熙越さんが手にするひょうたんは一般的な8の字型ではなく、卵ほどの大きさで、皮は薄く柔らかい。蘭州特有の品種だという。蘭州ひょうたん雕刻は微細な図案で知られ、黄河沿岸独自の特色民間工芸となっている。2006年には同省の無形文化遺産に登録された。
11日、阮氏葫蘆芸術館に展示されている蘭州ひょうたん彫刻の作品。(蘭州=新華社記者/馬莎)
歴史は古く、魏晋時代までさかのぼる。当時、シルクロードを行き交ったキャラバンは酒や水を入れるのにひょうたんを用い、後にひょうたんを美しく飾るため表面に絵を描くようになった。明末清初になると、絵画から発展した雕刻が徐々に流行するようになった。
熙越さんは、阮家ひょうたん雕刻の4代目になる。彫刻技法の絶え間ない研さんから若者向けの取り組み、積極的な市場開拓に至るまで、阮家の職人は各代が自らの文化的使命を伝えてきた。
11日、阮氏葫蘆芸術館に展示されているひょうたんの茶筒。(蘭州=新華社記者/馬莎)
初代の阮光宇(げん・こうう)さんは、熙越さんの曾祖父に当たる。20世紀初頭に生まれ、書画に秀でていた。蘭州の城隍廟(じょうこうびょう、城隍=都市の守護神)で偶然見つけたひょうたん雕刻を独学で学び、生計の糧とした。蘭州ひょうたん雕刻は当時、刻法だけで画法はないとされていたが、光宇さんは従来の手法を改め、山水画や古典文学などの要素を彫刻に取り入れた。
2代目伝承者で熙越さんの祖父、阮文輝(げん・ぶんき)さんは、技法の専門化と精密化に力を注ぎ、ひょうたん雕刻の名を広めることに尽力。水墨写意画、名人書画の臨書、彩色彫刻、微雕などの技法も取り入れた。重要な作品の一つは、直径4~5センチのひょうたんに唐詩204首、3千文字余りが彫刻され、現在は中国国家珍宝館に収蔵されている。
11日、作業部屋でひょうたんを彫刻する阮氏葫蘆芸術館のオーナー阮熙越さん。(蘭州=新華社記者/馬莎)
3代目を継承したのは熙越さんの母、阮琳(げん・りん)さんで、15歳の時には既に一人で作品を仕上げることができたという。美人画を得意とし、敦煌文化から多くの影響を受けた。
一方、熙越さんは、先代たちとは異なる理念を持ち、新たな道を切り開いた。
「売買は最高の保護、使用は最高の継承」と話す熙越さん。無形文化遺産はガラスケースに飾って鑑賞するだけの芸術品であってはならず、流通性と社会化が文化を広める重要な基礎だと語った。
11日、作業部屋で、作品のアイデアを出し合う阮氏葫蘆芸術館のオーナー阮熙越さん(右端)と母の阮琳(げん・りん)さん。(蘭州=新華社記者/馬莎)
若者の好みもリサーチし、彫刻技法を継承しつつ、アニメや文化財などの要素も作品に取り入れた。ひょうたん彫刻の鏡やアクセサリー、茶筒などを製作したほか、体験講座も開き、無形文化遺産を市場と若者により近づけ、ひょうたんに親しむ人の輪を広げた。
熙越さん「文化はみんなの事業。みんなが薪を拾ってこそ文化という炎をより盛んにすることができる」と語った。
編集:董丽娜
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