中国伝統演劇「豫劇」が大阪公演 文化交流が中日国民の心の交流を促進

ソース:人民網日本語版作者: 2024-10-09 14:20

 秋が訪れつつある10月、日本の大阪市立青少年センターでは抑揚ある旋律と力強い歌声が響き渡り、観客席からは称賛のかけ声が無数あがっていた。中華人民共和国成立75周年を祝い、中国の伝統演劇「豫劇」の国家一級俳優である李樹建氏率いる公演チームが訪日し、今月4日、大阪で豫劇を通じた海外文化交流イベントを行い、日本に住む河南省出身者に懐かしいふるさとの旋律を届けるとともに、日本の人々に中国の優れた演劇文化を紹介した。公演の中で李氏は、日本のアーティストを舞台に招いて交流を行ったほか、芸術を通じて中日国民の理解と相互信頼を増進することで、豫劇を両国の文化交流の新たな絆とした。

 豪華な出演者で観客を魅了

 今回の交流イベントは河南李樹建戯曲芸術センターが主催し、河南豫劇院二団、噴空劇場、新鄭市豫劇団、河南明星擂主大愛劇団などの芸術団体に所属する国家一級・二級の俳優や優秀な青年俳優が協力し、多数出演した。また中国戯劇家協会副会長で河南省文学芸術界聯合会副会長、河南省戯劇家協会会長の李樹建氏が自らチームを率いて舞台に立った。

 広く知られている演目である「抬花轎」や「花木蘭(ムーラン)」のほか、涙を誘わずにいられない「程嬰救孤」、公正無私の名裁判官として知られる「包青天」、孫悟空が登場する「大聖駕到」、そしてトリを飾った演目「義薄雲天」まで、観客は心ゆくまで公演を楽しみ、惜しみない拍手を送り、時には涙を流し、豫劇がもたらす感動に浸っていた。日本の舞踊家や民謡歌手もそれぞれ日本の特色豊かな舞踊や歌を披露し、観客に中国とは全く異なる芸術を紹介した。

 イベントでは公演だけでなく、観客自らが豫劇の魅力を体験するインタラクティブ交流も行われた。会場で参加を希望した観客数人が、プロの俳優の指導の下、短時間で舞台上での歩き方をマスターし、楽器演奏の伴奏に合わせて豫劇の登場人物になりきる体験を行った。また参加者たちには主催者側から河南省の特産品が贈呈された。

 今回のイベントは中国在大阪総領事館を始めとする各方面での協賛を得て、中国語総合テレビ局である「日本龍之昇中文台」が実施した。公演に先立ち、河南李樹建戯曲芸術センターのチーフプランナーで国家1級監督の張建萍氏の指導の下、繰り返しリハーサルが行われ、節回しや動作の細かな点までチェックが行われ、質の高い舞台が披露された。

 交流イベントが終わると、観客たちは争うように俳優たちとの記念撮影を求め、今後もこのようなイベントを行って欲しいと口々に語っていた。日本に住むある河南省出身者は、「目の前で実際に見た豫劇はテレビで見るのとは全く異なり、非常に感動した。またふるさとの旋律を耳にし、懐かしさのあまり胸が震えた」とした。またある在日華僑華人は李樹建氏に向けてサムズアップしながら、「演技も歌も全てが良かった」と絶賛した。

 豫劇の海外公演を通じて語る中国の物語

 李氏はイベント開始前に、主催者を代表してあいさつし、「これまで29回にわたりチームを率いて海外で豫劇の交流を行っており、今回は自分にとって3回目の日本公演となった。世界の友人たちに素晴らしい芝居を届けたい。中国文化がますます遠くまで広がり、ますます高く飛躍することを確信している」とした。

 またイベント後の人民網のインタビューに李氏は、「豫劇は中国伝統文化の重要な構成部分で、今回の日本での交流イベントは豫劇にとって新たな『長征』であり、さらには伝統演劇の再出発となった。今後はさらに多くの喜ばしい驚きをもたらし、内に向けては河南の精神を発揚し、外に向けては河南のイメージをPRして、中華文化の国際的影響力の向上に積極的に貢献していきたい」と力強く語った。

 300年の歴史誇る豫劇をクルーズ船上で披露 海上での新たな文化旅行体験に

 豫劇は中国の五大伝統演劇の一つとして、約300年の歴史を誇る。地方演劇ではあるが、その耳慣れた旋律と理解しやすい歌詞やストーリーから、河南省や河北省、山東省などで広く知られており、中国一の地方演劇と言われている。2006年、豫劇は第1陣の国家級無形文化遺産リストに登録された。豫劇の国家級無形遺産の代表的な伝承者である李樹建氏は、劇団を率いて豫劇の歌詞を多言語に翻訳して海外に進出している。李氏が主演を務めた演目「程嬰救孤」は、米国のブロードウェーの舞台とハリウッドのドルビー・シアターで相前後して上演され、中国の伝統演劇を世界の舞台で披露した。

 また今回、李樹建氏は公演チームを率いて、中国初の国産大型クルーズ船「愛達・魔都号」(ADORA MAGIC CITY)に乗船し、対外文化交流イベントを展開し、船上で見事な舞台を披露し、中国の物語を語り、中国の声を伝えた。

 船上での公演に関して李氏は、「今回、クルーズ船上という海上での公演を初めて経験し、約8割の俳優が船酔いなどの症状を訴えたが、全員がこうした体調不良による困難を克服し、舞台への熱い思いを抱き続け、プロフェッショナルな公演を披露したことで、観客の喝采を得られた」とした。

 今回の豫劇文化の海外公演イベントは1週間にわたり行われ、10月1日に上海を出発したのち、相前後して日本の神戸や大阪、高知などの都市を訪れ、10月7日には上海に戻った。イベント内容は演劇公演のほか文化講座、文化クリエイティブグッズ展、インタラクティブ体験、文化交流などが行われた。

 イベント期間中、クルーズ船内の劇場では豫劇の「程嬰救孤」や「花木蘭」といった演目が披露され、乗客たちを喜ばせたほか、「豫劇を世界に」と題した文化講座では、豫劇の力強い生命力と伝播力が聴衆の心を躍らせた。展示された文化クリエイティブグッズは人々の豫劇に対するイメージを一新し、舞台衣装の試着や隈取メイク体験といった俳優たちとのインタラクティブイベントは、人々に伝統演劇文化の奥深さと俳優たちの弛まぬ努力を感じさせ、中華伝統文化に対して更なる理解を深めるきっかけとなった。

編集:孙俪洋

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