復元進む漢代のシルクロード宿場遺跡

ソース:新華社作者: 2023-05-30 09:51

空から見た懸泉置遺跡。(資料写真、蘭州=新華社配信)

 中国甘粛省敦煌市にある懸泉置(けんせんち)遺跡は、国内で唯一発見された古代シルクロードの漢代官設宿場跡として知られる。同市は現在、遺跡の保護・利用プロジェクトを通じて往時の姿の復元を進めており、完成後は一般公開する。

 遺跡は中原(黄河中下流の平原地帯)と西域諸国を結んだシルクロードの幾多の宿場の一つで、約2千年の歴史を持つ。1990年代に実施された発掘調査では、帛書(はくしょ、絹に書かれた文書)や紙文書、絹織物、農作物、家畜の骨などの遺物7万点以上が出土した。中でも数万点に及ぶ漢代の簡牘(かんどく、文字を記した竹札や木札)「漢簡」は、古代シルクロードの存在とルート、中国と西方の文明融合を証明した。2014年には「シルクロード:長安-天山回廊の交易路網」の一部として世界文化遺産にも登録された。

 遺跡の分布面積は2万平方メートルを超え、これまでは主に学術調査団体に公開されていた。

 敦煌市懸泉置遺跡保護所の武進文(ぶ・しんぶん)所長によると、22年に始まった保護・利用プロジェクトでは、桟道や展望台などのインフラ施設を設置するほか、5キロ離れた場所に敷地面積2万5千平方メートルの懸泉置遺跡展示センターを建設する。インフラ施設の高度化改造はすでに完了しており、24年の一般公開を見込む。

 武氏は「プロジェクトは『保護優先、最小限の干渉』の原則を守りつつも、遺跡価値の解説と展覧サービスを強化した。今後はより多くの人々の見学ニーズをよりよく満たしていく」と述べた。

 30年余りの研究をまとめた発掘調査報告も年内の出版を予定している。

編集:董丽娜

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