指先の技術が「復元」する彩陶文化 甘粛省臨洮県
ソース:新華社作者: 2024-09-25 11:19
自宅で自身が制作した彩陶工芸品を見せる閻建林さん。(9月3日撮影、臨洮=新華社記者/范培珅)
中国の馬家窯文化は約100年前、スウェーデンの地質学者アンダーソンによって中国甘粛省定西市臨洮(りんとう)県で遺跡が発見された。約5千年前までさかのぼることができ、中国の新石器時代後期に属する同文化は、器形が美しく、文様が豊富できらびやかな彩陶で知られており、中国の彩陶鼎が最も栄えた時代の代表とされる。
自宅で彩陶の素地を作る閻建林さん。(9月3日撮影、臨洮=新華社記者/范培珅)
同県河口鎮に住む陶芸家の閻建林(えん・けんりん)さんは1990年代、ある偶然から馬家窯彩陶の制作技術を「復元」することを決意した。各地の博物館をたびたび訪れて研究し、資料を読み、拾い集めた彩陶を砕いて原料を研究することさえした。絵画の基礎がなかったので、上絵付けも専門的に学んだ。
閻建林さんが制作した彩陶。(9月3日撮影、臨洮=新華社記者/范培珅)
数年の研究の結果、閻さんはいくつかの方法を見つけ出した。馬家窯彩陶の制作工程はおおむね、土選び、土練り、ろくろ成形、研磨、乾燥、着色、焼成などに分かれ、原料の土は、洮河両岸で産出される第三紀層の赤土が使用される。絵付けは、鉱物顔料を用いてまず点を打ち、それから線でつなぐことで対称な模様が表現できる。
閻建林さんが制作した彩陶。(9月3日撮影、臨洮=新華社記者/范培珅)
閻さんは、薪を燃やすれんが製の窯の使用に特にこだわっており、そうしなければ、出来上がった工芸品の色や質感を馬家窯彩陶に近づけることができないと考えている。
現在、中国では伝統文化がますます好まれるようになっており、閻さんが制作する彩陶工芸品は、特に市場で評価されている。閻さんは自宅で作業をし、毎年平均2~3立方メートルの土を使用し、彩陶の復製品を年間3千点以上制作しており、兄弟2人も彩陶制作に携わっているという。
自宅で彩陶の素地を作る閻建林さん。(9月3日撮影、臨洮=新華社記者/范培珅)
同県では現在、彩陶制作技術が小中学生にも人気となっている。県全体で2013年から陶芸クラブが設立され、現在では小中学校12校に陶芸室が設置されている。閻さんもたびたび学校を訪れ、子どもたちを指導している。
文化の普及を促進するため、閻家では技術イノベーションにも取り組んでいる。閻さんの息子、小虎(しょうこ)さんは、たびたび公園の彩陶彫刻に絵付けをし、透かし彫りの彩陶や彩陶茶器など新製品を開発している。
素地作りを学ぶ臨洮県西街小学校の児童。(9月4日撮影、臨洮=新華社記者/范培珅)
自宅で彩陶の素地を作る閻建林さん。(9月3日撮影、臨洮=新華社記者/范培珅)
編集:孙俪洋
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