自宅の中庭で盆栽の形を整える徽派盆栽技術の省級無形文化遺産伝承者、洪定勇（こう・ていゆう）さん。（６月６日撮影、黄山＝新華社記者／賈稀荃）

　中国安徽省黄山市歙（きゅう）県雄村鎮売花漁村は「徽派盆栽」発祥の地で、千年以上に及ぶ栽培の歴史がある。徽派盆栽の栽培技術は２００８年、国家級無形文化遺産の代表的項目に選ばれた。村には１５００ムー（約１００ヘクタール）以上の盆栽栽培拠点があり、村内全２３６世帯のほぼ全てが栽培に携わっている。生産量は年間約６万鉢、売上高は２５００万元（１円＝約２０円）を超える。

　売花漁村共産党支部第１書記で同村駐屯工作隊の徐玉竜（じょ・ぎょくりゅう）隊長は、村内には徽派盆栽栽培に従事する３５歳以下の生産者が６０人以上いると紹介した。

盆栽で埋め尽くされた売花漁村の村民の自宅中庭。（６月６日撮影、黄山＝新華社記者／賈稀荃）

　「９０後」（１９９０年代生まれ）の女性、洪瑜（こう・ゆ）さんもその一人で、２０２２年２月から徽派盆栽の栽培過程をライブ配信している。洪さんは都市に住む若者向けに、手のひらや指先サイズのミニ盆栽も育ており、「新たな市場を開拓するだけでなく、より多くの人に地元に伝わる無形文化遺産の技術を知ってもらうことができる」と語った。

　ライブ配信は販路拡大だけでなく地元文化の宣伝にもつながることから、売花漁村は２３年１０月、各地から集まった若者約１０人の力を借りて専門のライブ配信チームを立ち上げた。チームの責任者、張念（ちょう・ねん）さんは、数カ月の模索を経て、電子商取引（ＥＣ）には強力なサプライチェーンが必要で、盆栽の栽培には時間がかかることに気付くと方向性を転換。商品そのものではなく、徽派盆栽の文化的蓄積や栽培過程を紹介することで、商品のブランド価値を向上させている。

徽派盆栽をライブ配信で紹介する洪瑜（こう・ゆ）さん。（６月６日撮影、黄山＝新華社記者／賈稀荃）

洪瑜（こう・ゆ）さんが育てたミニ盆栽。（６月６日撮影、黄山＝新華社記者／賈稀荃）